脳卒中とは

脳卒中とは、脳の血管がやぶけたり、つまったりして、急に手足の麻痺やしびれ、あるいは意識障害などの症状が出た状態をいいます。脳卒中は脳におこる病気のなかでもっとも多いものです。一命をとりとめても、麻痺や意識障害などの、重大な後遺症を残すことがしばしばあり、介護が必要となる原因としては現在でも最も多いものです。下記の病気を脳卒中と総称します。
アテローム血栓性脳梗塞 (あてろーむせいけっせんせいのうこうそく)
頚動脈や頭蓋内の重要な太い動脈に動脈硬化が起こり、血管が閉塞するものです。成人病の代表選手で、タバコを吸っている人や、コントロールの悪い高血圧や糖尿病などがある人で起きます。
ラクナ梗塞 (らくなこうそく)
脳の深いところにある細い動脈が主に動脈硬化によってつまってしまったもので、梗塞の大きさが15mm未満のものをこう呼んでいます。 最初に症状が軽くても徐々に進行することがあります。
心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)
脳以外の場所、たとえば心臓の中でできた血のかたまりなどが、血流にのって脳の血管につまったものです。しばしば重症な脳梗塞を起こすことが多いです。心房細動という不整脈が原因であることが多いです。
2.脳出血(脳内出血)(のうしゅっけつ)
脳の中で血管がやぶけて血液が脳の中で吹き出した状態です。脳は柔らかいので、吹き出した血液によって傷ついたり、部分的に破壊されます。その結果として麻痺や意識障害などが起こるのです。また血管から吹き出した血液は脳のなかで血のかたまり(血腫と呼んでいます)となり、それが大きくなると、頭の骨(頭蓋骨)の中は閉じられた空間になっていますので、頭蓋内の圧力が上がってしまい、重症の脳出血の場合はそれによってさらに脳が障害されて、生命に危険が及ぶことになります。症状は、血管が破けた場所によってさまざまなものが出ます。小脳というところに出血が起こると、小脳失調といって、バランスをとる能力が低下(ふらふら)したり、ひどい目まいがします。
3.くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)
頭蓋内(ずかいない)の動脈の一部に、壁が薄いところができて、そこが次第に膨れてきて動脈瘤(どうみゃくりゅう)という膨らみ、コブができることがあります。これがなにかの拍子にやぶけて血が吹き出たのがクモ膜下出血です。症状は頭痛、よく“これまで経験したことがないような”などと表現されるような激しい頭痛というのが典型的です。しかし破けるのが動脈であり、血液はかなりの勢いで吹き出ますから、吹き出し方がひどいと、吹きつけられた部分の脳が、柔らかいために破壊されてしまうことも多く、またあっという間に頭蓋内の圧が上がってしまって直ちに生命に危険を及ぼすこともあります。
脳卒中の圧倒的多数は脳梗塞です。梗塞とは、動脈がつまって血液が流れなくなり、酸素や栄養が行き届かなくなり、酸欠に陥った部分の組織(細胞)が死んでしまうことです。どこの血流が途絶えたかによって症状が違いますが、麻痺、感覚障害が多く、言語中枢(通常左側)が梗塞になると、言葉が出にくいという症状(失語といいます)が見られることもあります。梗塞の大きさによっても症状に違いがあります。脳梗塞が非常に大きいと意識も混濁してしまい重篤な状態になってしまうことがあります。脳梗塞は、血管がなぜつまったのか、その原因によって分けて説明されることが多いです。原因によって治療に違いがあるからです。脳梗塞には以下のような型(病型)があります。