令和3年度 病院指標
病院情報の公表 集計項目
  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
1.年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 506 195 211 393 455 612 940 1831 1492 484
【定義】
・一般病棟を退院した患者さんについて、入院時点の年齢を基に、年齢階級別(10歳刻み)に集計しています。
・90歳以上は、まとめて1つの階級としています。

【解説】
・令和3年度(2021年度)の退院患者数は7,119人、前年度と比較して4.1ポイント増加しました。また、平均年齢は62.4歳(男性64.7歳、女性60.0歳)でした。
・入院を必要とした主な疾患は、多い順に、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)、脳梗塞、大腿骨骨折、心不全、肺癌、白内障などでした。
・年代別では、70代が25.7%と最も多く、次いで、80代、60代となり、60歳以上が全体の66.7%を占めています。
・0代では新生児疾患、気管支炎、10代では虫垂炎、骨折(前腕、頭部)が多くなっています。20代~40代では女性(妊娠・出産、子宮筋腫)が、50代~60代では男性(肺癌、胃癌、鼠径ヘルニア、胆のう疾患)が多く、70代~80代では性別に関係なく、脳梗塞、白内障、大腿骨骨折、心不全などが上位疾患となっています。また、90代以上では、大腿骨骨折、脳梗塞、心不全のほか、誤嚥性肺炎による入院も多くなっています。大腿骨骨折の内、74.7%は、70代~90代以上の女性が占めていますが、同年代男性の約4倍の患者数となっています。
・令和3年度(2021年度)は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期:第4波から第6波にありました。ワクチン接種が進んだ一方で、デルタ株の出現などにより患者数は急増しました。
 当院においても、医療圏内の急激な感染拡大に伴い、感染症法に基づく入院措置対象患者が急増したため、感染症病床が逼迫し、一般診療の一部制限などを行いました。このような第二種感染症指定医療機関としての対応、感染患者の受け入れを最優先したことなどが、COVID-19の患者数が最も多くなった要因と思われます。
 
2.診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等なし 19 20.26 20.57 10.53 85.95  
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) インスリン製剤投与あり 16 14.81 14.41 6.25 67.19  
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 15 18.20 13.14 0.00 72.07  
0400801499x002 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし - - 15.86 - -  
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等なし - - 17.35 - -  
[内科]

・内科の入院症例では、疾患が多岐にわたっています。糖尿病に関連した入院も多く、高血糖を伴う急性期合併症の治療や、新規治療開始時の教育、手術前後の血糖管理などを目的とした入院管理を行っています。また、感染症治療目的での入院では、尿路感染症や呼吸器感染症が多くみられます。
 
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし エダラボン投与あり 43 19.51 15.63 23.26 78.47  
010110xxxxx4xx 慢性炎症性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群等 ガンマグロブリン投与あり 33 18.85 16.11 3.03 62.15  
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし 30 30.53 18.90 40.00 76.10  
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし 20 13.95 7.22 5.00 72.20  
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 脳血管疾患リハビリあり 副傷病なし 19 21.95 15.57 21.05 73.68  
[脳神経内科]

・脳梗塞、脳出血の症例が多くなっています。治療は、脳神経外科と連携し、脳卒中発症後、速やかに専門的な診断や治療が受けられるよう、脳卒中センターにて急性期治療を行います。また、慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、四肢の筋力低下や、しびれ感をきたす末梢神経の病気です。2ヶ月以上にわたっての進行、または再発がみられるのが特徴です。ギラン・バレー症候群は、感冒等の上気道感染や下痢を伴う胃腸炎の感染後、1~2週間後に、手足の先にしびれや力の入りにくさが出現します。 その後、数日から2週間で、急速に症状が進行する疾患です。
 
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等なし 50 13.86 18.42 2.00 77.42  
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等なし 46 21.98 20.57 13.04 82.57  
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 終夜睡眠ポリグラフィーあり 34 2.00 2.03 0.00 59.97  
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 化学療法あり 29 5.28 9.07 0.00 71.69  
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等なし 28 13.71 13.12 3.57 76.79  
[呼吸器内科]

・間質性肺炎は、多くが長期間のステロイド療法を必要とする症例となっています。肺炎、誤嚥性肺炎は救急医療の対象で、日勤帯は当科が入院加療を担います。睡眠時無呼吸症候群は、診断目的の検査入院です。肺癌は、化学療法の第1クール目の施行時、あるいは連日の化学療法が必要な患者さんが入院の対象です。
 
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等なし 副傷病なし 50 7.90 9.21 8.00 79.16  
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 30 3.60 2.65 0.00 71.20  
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 28 5.82 7.96 0.00 73.82  
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他の手術あり 手術・処置等なし 26 16.81 10.84 7.69 75.12  
060060xx9710xx 胆嚢、肝外胆管の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等あり 23 12.04 12.97 0.00 80.26  
[消化器内科]

・胆石や腫瘍による閉塞性黄疸は、紹介例を含め治療を担当することが多い疾患です。また、減黄処置後に外科手術へと至る症例もあるため、外科との連携を重視しています。食道・胃・大腸の腫瘍・ポリープの内視鏡的切除は、近年、対象となる症例が増えつつあり、また、手技も複雑化している傾向があります。長時間の治療が要求される症例も増えてきており、複数の内視鏡医でチーム医療を心がけています。
 
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等なし 96 22.30 17.35 5.21 85.04  
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心臓カテーテル検査等あり 64 3.47 3.06 3.13 70.42  
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 心臓カテーテル検査等あり 59 5.56 4.36 1.69 70.56  
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等なし 副傷病なし 46 14.89 11.87 4.35 68.61  
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等なし 副傷病なし 43 11.67 10.24 0.00 82.91  
[循環器内科]

・当科で最も多い入院は、心不全での入院です。現在、高齢者を中心とした心不全の患者さんの増加は、「心不全パンデミック」といった言葉で語られるほどの増加を呈しており、社会的問題ともなってきています。当院でも、昨年に引き続いて症例数が1番となっており、平均年齢も85歳と高齢の方の比率が非常に高い状態です。高齢の方は、多くの併存疾患に罹患されていることが多く、また、積極的な心臓リハビリテーションの介入を行なっているものの、衰弱傾向を呈する患者さんもいるため、退院調整にも難渋することが少なからずあります。そのため、平均在院日数が長くなり、転院率も高くなっています。また、抜本的な解決策がないので、入退院を繰り返す患者さんも多く、患者さんのみならず、ご家族、ご親族や周囲の方々の負担も多く、いわゆる老々介護の状況も現実的にあることから、包括的な対応が必要となってきています。2番目から4番目は、虚血性心疾患に対する、心臓カテーテル検査などの集約的医療を行う患者さんです。急性心筋梗塞の患者さんに対しては、当院では1年365日、24時間体制で、急性心筋梗塞に対する緊急カテーテル治療が施行可能な体制を整えています。5番目はペースメーカ手術です。
 
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等なし 副傷病なし 21 4.57 7.87 0.00 74.38  
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等なし 19 5.26 10.39 0.00 57.58  
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 人工腎臓あり - - 13.74 - -  
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等なし - - 17.35 - -  
110280xx01x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 手術・処置等なし - - 7.48 - -  
[腎臓内科]

・血液透析を行うためには、大量の血液を体内から抜き出すため、太い血管が必要になります。一般的に、前腕の静脈と動脈をつなぎ合わせた血管:シャントを使用します。そのシャントを造設するための入院が多くなっています。透析導入後は、多い方で、週に3回透析を必要としますが、中には、造設したシャント(血管)が細くなったり、血栓が詰まってしまうなどのシャントの不調により、手術(シャント拡張術・血栓除去術)が必要となる場合もあります。また、転院症例が少なく、平均在院日数が短いことも特徴です。
 
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 化学療法あり 副傷病なし 11 6.18 9.09 0.00 76.36  
110050xx97x00x 後腹膜疾患 その他の手術あり 手術・処置等なし 副傷病なし 10 2.70 8.43 0.00 70.40  
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等なし - - 10.88 - -  
060020xx97x0xx 胃の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等なし - - 14.66 - -  
06007xxx97x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等なし 副傷病なし - - 11.68 - -  
[腫瘍内科]

・食道癌に対する複合免疫療法を積極的に行っています。非上皮性腫瘍、原発不明癌に対する薬物療法も他施設からの紹介も含めて増加しております。
 
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等なし 97 4.84 6.13 2.06 0.00  
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 副傷病なし 53 4.91 5.83 0.00 1.36  
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等なし 40 9.80 11.01 2.50 0.00  
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等なし 副傷病なし 15 5.73 6.24 0.00 4.67  
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 15 5.73 13.14 0.00 4.33  
[小児科]

・令和3年度(2021年度)も、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、インフルエンザや胃腸炎、マイコプラズマなどの流行がなく、一般小児科の入院数は例年に比べ減少しています。そのため、疾患別の上位は、新生児疾患となっておりますが、RSウイルス感染症だけは例年以上に流行したため、気管支炎や細気管支炎、肺炎の患者数が増えた結果となりました。
 
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 132 2.80 4.74 0.00 72.53  
060150xx99xx0x 虫垂炎 手術なし 副傷病なし 45 5.73 7.31 0.00 40.38  
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等なし 副傷病なし 41 16.59 15.76 0.00 68.78  
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等なし 副傷病なし 38 6.18 7.11 0.00 60.68  
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし 37 7.38 9.00 2.70 72.30  
[消化器外科]

・令和3年度(2021年度)消化器外科は、鼠経ヘルニアに対する手術が増加しています。全国平均に比べて在院日数が短く、術後経過が非常に良好です。次いで、急性虫垂炎に対する診療が多く、腸閉塞、急性胆嚢炎といった腹部救急疾患は、救急部とも連携して、24時間対応にて積極的に取り組んでいます。予定手術では、悪性腫瘍が圧倒的に多く、食道がん、胃がん、結腸がんなどに加えて、肝胆膵悪性腫瘍に対する手術も数多く行っています。胸腔鏡、腹腔鏡手術も多く、術後の経過も良好です。また、当院は肝胆膵外科学会の「高度技能専門医認定施設」でもあり、肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどの高難易度手術も積極的に行っています。術後は、ガイドラインに沿って、EBM(科学的根拠(エビデンス))に基づいた診療を行い、化学療法や放射線治療など、集学的治療を積極的に行っています。
 
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 164 34.46 25.32 35.98 85.69  
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等なし 49 18.82 15.77 2.04 71.49  
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 47 21.19 20.31 2.13 70.55  
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 38 42.39 19.34 10.53 80.34  
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし 37 3.81 4.99 2.70 38.78  
[整形外科]

・高齢化社会を反映し、高齢者を中心とした骨折(特に大腿骨近位部骨折)や、腰椎を中心とした脊椎疾患の入院が多い状況です。
 
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等なし 49 2.67 2.94 0.00 62.61  
060170xx02xxxx 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 15 4.00 7.84 0.00 3.33  
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 手術あり 11 9.27 8.63 0.00 60.45  
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等なし 11 4.73 5.16 0.00 28.09  
140210xx02xxxx 先天性耳瘻孔、副耳 副耳(介)切除術 10 3.00 3.04 0.00 1.40  
[形成外科]

・眼瞼下垂症の手術が多くなっています。眼瞼下垂により、視野が狭くなった方はもちろん、眼瞼下垂性の頭痛、肩こり、まぶしさなど、手術によって改善し、生活が楽になられる患者さんが多くいらっしゃいます。最近の傾向として、子宮癌や乳癌の手術に伴うリンパ節郭清手術後に生じる手足のむくみである、リンパ浮腫の手術治療が増えています。浮腫の改善により、生活の質が向上したと仰っていただけることが多いです。全身麻酔による顔面骨骨折や、小児形成外科手術が多いのも当院の特徴です。
 
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx97x00x 外傷性頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等なし 副傷病なし 51 13.88 9.78 27.45 79.39  
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし 12 25.08 18.90 41.67 70.00  
010030xx01x0xx 未破裂脳動脈瘤 脳動脈瘤頸部クリッピング等 手術・処置等なし 11 19.27 15.26 0.00 54.00  
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 動脈造影カテーテル法血管造影撮影あり - - 2.99 - -  
010040x101x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 脳血管内手術+脳動静脈奇形摘出術等 - - 34.13 - -  
[脳神経外科]

・外傷性の頭蓋内損傷の入院症例が多くなっています。外傷性硬膜下血腫、外傷性脳挫傷、外傷性脳出血など、転倒や交通事故などによるものです。硬膜下血腫は、急性と慢性があり、慢性硬膜下血腫は、頭部外傷後、1~2か月後に歩行障害や認知症等の症状がおこる病気で、多くが緊急での手術を必要とします。次に多い症例は、脳出血、くも膜下出血の症例です。脳神経内科と連携し、発症後、速やかに専門的な診断や治療が受けられるよう、脳卒中センターにて急性期治療を行います。また、未破裂脳動脈瘤は、動脈瘤の根元をチタン製のクリップで挟み、血液が入らないようにして瘤の破裂を未然に防ぐクリッピング手術や、検査入院の症例になります。検査は、1泊2日で、カテーテルを用いて血管造影を行います。
 
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等なし 副傷病なし 46 9.83 10.47 0.00 68.87  
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等なし 32 11.69 10.15 0.00 58.38  
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 19 7.32 5.88 0.00 62.84  
040200xx97x00x 気胸 その他の手術あり 手術・処置等なし 副傷病なし - - 16.12 - -  
040200xx99x00x 気胸 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし - - 9.28 - -  
[呼吸器外科]

・当科では、呼吸器外科と乳腺内分泌外科の手術を担当しています。呼吸器外科は主として、肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸の手術、および術後再発の化学療法、分子標的薬治療、免疫チェックポイント阻害薬治療を行っています。乳腺内分泌外科は主として、乳癌、甲状腺癌の手術を担当、術前・術後の化学療法、ホルモン療法も施行しています。呼吸器外科の手術は、体に負担の少ない(低侵襲)といわれる胸腔鏡手術を積極的に導入しています。縦隔腫瘍には、ロボット支援手術(ダヴィンチ手術)を導入しており、今後、肺悪性腫瘍手術にも導入していく予定です。乳腺内分泌外科の手術は、大部分が乳房温存手術で、センチネルリンパ節生検は色素法に加え、RI法を導入し、精度を向上させています。
 
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等なし 18 13.94 13.07 0.00 74.94  
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等なし 16 9.06 7.68 0.00 82.00  
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 12 10.50 9.22 8.33 76.33  
080190xxxxxxxx 脱毛症 - - 3.36 - -  
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし - - 14.75 - -  
[皮膚科]

・皮膚癌は、高齢化により症例数が徐々に増加しています。膿皮症他は、重症、基礎疾患を有する内服抗菌薬に反応しない症例です。全身麻酔、植皮術を要する症例を入院加療としています。
 
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 前立腺針生検あり 86 3.00 2.50 0.00 70.36  
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等なし 46 6.09 7.02 0.00 75.37  
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等なし 副傷病なし 23 4.13 5.56 0.00 65.13  
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 21 7.10 8.23 0.00 72.62  
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 18 10.44 11.63 0.00 68.11  
[泌尿器科]

・当院では、前立腺針生検を2泊3日の入院で行っているため、これが多く集計されています。また、手術としては、経尿道的膀胱腫瘍切除術が例年50症例前後で推移しています。ダヴィンチ(内視鏡手術支援ロボット)導入により、前立腺癌手術症例が増加傾向です。
 
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 83 9.47 9.39 0.00 33.20  
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 44 5.93 6.04 0.00 46.30  
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 化学療法あり 副傷病なし 43 4.37 4.34 0.00 64.09  
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 39 5.79 6.11 0.00 47.10  
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等なし 33 4.03 3.05 0.00 41.06  
[産婦人科]

・産婦人科は、産科も婦人科も診療しています。産科は地域周産期センターとして、近隣の分娩取り扱い施設からの緊急患者も受け入れています。婦人科は、良性疾患から悪性疾患まで診療を行い、手術、化学療法のほか、放射線科の協力のもと、放射線治療も行っています。手術は、良性腫瘍で適応があれば、開腹術のみならず、腹腔鏡手術も行っています。
 
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 171 2.21 2.71 0.00 75.26  
020220xx97xxx0 緑内障 その他の手術あり 23 7.65 5.41 0.00 72.57  
020220xx01xxx0 緑内障 緑内障手術 濾過手術 11 13.45 9.47 0.00 71.36  
020210xx99x0xx 網膜血管閉塞症 手術なし 手術・処置等なし - - 7.17 - -  
020250xx97xxxx 結膜の障害 手術あり - - 3.25 - -  
[眼科]

・白内障は、眼の中にあるレンズ(水晶体)が濁り視力が低下する疾患です。原因は、加齢性が最も多く、糖尿病や眼外傷、炎症性の眼疾患などでも生じます。治療は、濁った水晶体を破砕・摘出し、眼内レンズ(人工水晶体)を挿入します。手術創は、2.4mm程度で局所麻酔で行います。ほとんどの症例は、無縫合で眼科の中では一番症例数が多い手術です。通常は、片眼ずつ手術を行いますが、特殊な症例では両眼同時に手術を行う場合もあります。 緑内障は、視神経の病気です。視神経は、多数の細い神経の束で構成されています。緑内障が進行すると、弱い神経から障害され、徐々に視野がかけていきます。治療はまず、点眼薬により眼圧を下げますが、十分な眼圧下降が得られず視野障害が進行する場合は、眼圧を下げるための手術を行います。手術では、各症例に応じて、眼内に産生される水(房水)を排出する新しいルートを作る濾過手術や、通常のルートで房水流出を改善させる流出路再建などを行います。網膜血管閉塞症は、その名の通り網膜にある血管が閉塞する疾患で、動脈閉塞と静脈閉塞があります。動脈閉塞の場合は、緊急性のある疾患です。網膜は、神経の膜であるため、閉塞による酸素不足に弱く、治療は発症後ただちに開始する必要があります。治療は、高気圧酸素療法を行いますが、すぐに治療を開始しても視力が回復しない症例が多数あります。静脈閉塞は、眼底出血を起こす疾患で、出血が網膜の中心(黄斑部)に生じた場合、あるいは、黄斑部に出血がかかっていなくても黄斑部に浮腫が生じた場合(黄斑浮腫)は、視力が低下します。最近は、黄斑浮腫に対して、眼内に直接治療薬を投与する硝子体注射が行われており効果を上げていますが、症状の増悪にあわせて、繰り返しの治療(硝子体注射)が必要になります。
 
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 32 14.34 13.14 9.38 85.72  
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等なし 副傷病なし 21 2.52 3.70 9.52 45.48  
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等なし 副傷病なし 17 6.82 8.30 0.00 60.00  
160400xx99x0xx 胸郭・横隔膜損傷 手術なし 手術・処置等なし 15 13.40 9.25 6.67 78.40  
160100xx99x01x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等なし 副傷病あり 14 14.57 19.98 14.29 69.50  
[救急科]

・当科では、すべての救急疾患の初期治療に対応していますが、どの診療科にも属さない疾患の入院が上位となっています。感染症については、時間外に受診された患者さんが主となっています。薬物中毒については、薬物を過剰に摂取し中毒症状で入院された方のほか、蜂刺症も含まれています。蜂刺症は、蜂に刺されアナフィラキシー(体内に入った蜂毒を除去しようとする防御反応)や、アナフィラキシーショック(血圧が下がりショック状態)を伴って来院された患者さんです。翌日には改善され、自宅に戻られています。頭部外傷は、脳神経外科手術の適応とならない患者さんを治療しています。また、末梢性めまいについては、当院に耳鼻咽喉科の常勤医が不在のため(令和4年9月から常勤)、当科で対応しています。胸郭、横隔膜損傷は、多発肋骨骨折と胸骨骨折を入院の対象としています。重篤な気胸・血胸を合併する場合は、呼吸器外科併診のもと入院管理を行っています。
 
3.初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
  初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage Ⅰ Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 49 11 11 17 - 36 1 8
大腸癌 33 15 27 33 - 12 1 8
乳癌 26 21 - - - 10 1 8
肺癌 34 - 35 33 - 54 1 7,8
肝癌 - - - - - 22 1 7,8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【定義】
・医療資源を最も投入した傷病名が、「5大癌(悪性腫瘍)」の患者さんについて集計しています。
・「初発」とは、当院において当該腫瘍の診断、診断と初回治療、初回治療を実施した場合の患者数を示しています。
また、Stageは、治療前に得られた診断情報(一般理学所見、血液検査、画像診断、内視鏡検査、生検など)に基づくTNM分類から示される病期分類です。 (Stageが「0」のものは集計対象外とします。)
・「再発」とは、治療施設を問わずに初回治療が完了した後、当院で治療を継続する場合や、がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移を発症した場合の患者数を示しています。
・「UICC TNM分類」とは、がんの進行度を判定するための「国際的な分類方法」、また、「癌取扱い規約」とは、がんの状態や治療の結果を記録するための「日本国内の分類方法」のことです。

【解説】
・令和3年度(2021年度)に「5大癌」の治療を必要とした方は、前年度と比較して11.3ポイント増加しました。
 初発における平均年齢は、69.5歳(男性71.5歳、女性66.4歳)でした。
・初発の患者構成は、大腸癌が29.0%と最も多く、次いで、肺癌28.7%、胃癌23.4%となっています。
 また、初発と再発をあわせた患者構成は、肺癌が31.6%と最も多く、次いで、胃癌24.3%、大腸癌23.9%となっています。
・Stage別では、どの癌もStageⅠが多い傾向となっていますが、大腸癌、肺癌においては、StageⅢ、StageⅣも同程度の患者数となっています。
 
4.成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
  患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽 症 - - -
中等症 37 19.19 79.92
重 症 - - -
超重症 - - -
不 明 - - -
【定義】
・入院のきっかけとなった傷病名、および医療資源を最も投入した傷病名が、「肺炎」の患者さんについて集計しています。
・成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類(A-DROPスコア)により、入院時に評価した重症度別に患者数を示しています。
・A-DROPスコアとは、評価項目の頭文字(A:Age=年齢、D:Dehydration=脱水、R:Respiration=呼吸、O:Orientation=見当識、P:Pressure=血圧)を並べたものです。
・1項目1点とし、スコアの合計が、0点を軽症、1~2点を中等症、3点を重症、4~5点または1項目のみ該当の場合でも、血圧が大幅に低下するショック症状がみられた場合には、超重症と判定されます。

【解説】
・成人市中肺炎とは、社会生活を営む健常人に起こる肺炎のことを指します。
・令和3年度(2021年度)に「市中肺炎」の治療を必要とした方は、前年度と比較して14.9ポイント減少しました。
・全体の平均年齢は、79.0歳、平均在院日数は、17.5日でした。
・細菌性肺炎が最も多く、また、重症度別では、中等症以上が90%を占めています。高齢になるにつれ、重症化のリスクが高まり、在院日数も長くなる傾向がみられます。
 
5.脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均
在院日数
平均年齢 転院率
3日以内 228 28.36 79.57 30.04
その他 15 25.60 77.00 3.29
【定義】
・医療資源を最も投入した傷病名が、「脳梗塞」の患者さんについて集計しています。
・「発症から3日以内」と、発症から4日目以降の「その他」に分けた患者数などを示しています。
・転院率は、当該集計の全退院患者数に対して、「他の病院・診療所へ転院」となった患者数の割合です。

【解説】
・当院では、平成19年(2007年)4月より脳卒中センターを整備し、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)発症後、速やかに専門的な診断や治療が受けられるよう、脳神経内科及び脳神経外科医師が24時間365日体制で、脳梗塞に対するt-PA療法をはじめとした「脳卒中の急性期治療」を行っています。
・脳梗塞は、発症すると重い障害を残す可能性の高い疾病です。そのため、当院では、原則、脳梗塞発症後24時間以内にリハビリテーションを開始し、早期の機能回復、改善に努めています。また、急性期治療終了後は、回復期リハビリテーション施設などへの転院や、在宅療養などへスムーズに移行できるよう、地域の医療機関との連携体制を整備しています(上伊那脳卒中地域連携パス)。

・令和3年度(2021年度)に「脳梗塞」の治療を必要とした方は、243人(男性56.0%、女性44.0%)で、前年度と比較して11.0ポイント増加しました。
・全体の平均年齢は、79.4歳(男性77.1歳、女性82.4歳)、平均在院日数は、28.2日でした。平均在院日数は、前年度より、4日程長くなっています。
・年代別では、80代が35.4%と最も多く、次いで、70代となります。また、60歳以上が全体の92.2%を占めています。
 
6.診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 18 0.50 43.78 38.89 79.72  
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -  
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 - - - - -  
K164-5 内視鏡下脳内血腫除去術 - - - - -  
K1882 神経剥離術(その他) - - - - -  
[脳神経内科]

・経皮的脳血栓回収術は、急性期脳梗塞に対する手術で、詰まっている血栓を、カテーテルを用いて吸引したり、金網の筒のようになっている血栓除去用のステントを用いて、回収除去を行うことで、再び脳の血流を開通させることを目的とする手術のことです。手術は、全長150cm前後のカテーテルを、主に足の付け根から血管の中に挿入して行います。
 
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K654 内視鏡的消化管止血術 32 0.13 12.81 6.25 75.16  
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 31 0.77 9.23 0.00 80.58  
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 26 0.15 4.65 0.00 73.50  
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) 26 0.23 6.69 3.85 77.73  
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 22 0.55 1.50 0.00 70.32  
[消化器内科]

・最近の傾向として、上部消化管出血が若干減少傾向になっています。抗凝固療法、解熱鎮痛剤投与症例の予防的制酸剤投与が浸透しつつあると考えています。総胆管結石、胆膵系腫瘍による閉塞性黄疸に対する内視鏡的減黄術は、紹介症例も多く例年数多くこなしています。穿孔、出血等の合併症を生じないように注意して治療に臨んでいます。腫瘍・ポリープに対する内視鏡的切除についても、処置日を設定してクリニカルパスを利用し、安全かつ入院期間の最適化を考慮して実施しています。
 
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 54 2.65 6.37 1.85 70.13  
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 32 2.53 9.91 3.13 82.38  
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 22 0.32 15.00 0.00 70.14  
K5461 経皮的冠動脈形成術(急性心筋梗塞) 21 0.00 12.95 0.00 66.62  
K597-2 ペースメーカー交換術 17 2.53 8.06 0.00 84.65  
[循環器内科]

・経皮的冠動脈ステント留置術、あるいは経皮的冠動脈形成術(その他)は、狭心症、虚血性心疾患に伴う心不全、陳旧性心筋梗塞、無症候性心筋虚血等に対して待機的に施行しています。経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞)(不安定狭心症)は、急性冠症候群の病態に対して緊急、あるいは入院後の安定化を図った後、準緊急的に施行しているものです。当院では、救命救急センターや冠疾患集中治療室、一般病棟と、クリニカルパスを用いたシームレスな診療ができるよう診療体制を整えています。ペースメーカー移植術は、房室ブロック、洞不全症候群、除脈性心房細動等に対して施行しています。ペースメーカ交換術は、ペースメーカの電池消耗に対して電池交換を行う手術です。なお、当院においては、カテーテル手術、ペースメーカ手術については、いたずらに症例数の増加を目指すのではなく、しっかりとた検査とスタッフでのカンファレンスにより、厳密な適応判断を行なった上で、手術が必要な患者さんに対して、丁寧な病状説明を行ない、必要な治療を行なうようにしています。
 
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 23 3.78 3.30 0.00 74.65  
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -  
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) - - - - -  
K608-3 内シャント血栓除去術 - - - - -  
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) - - - - -  
[腎臓内科]

・透析導入時には、内シャント造設術、腹膜灌流用カテーテル留置術を行い、シャントの不調に対しては、経皮的シャント拡張術、血栓除去術などを行っています。当院で完結出来ない場合は、転院を余儀なくされるケースもあります。
 
腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 25 1.52 3.32 0.00 65.96  
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈,静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) - - - - -  
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -  
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) - - - - -  
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -  
[腫瘍内科]

・症状緩和ケアの一環として、積極的に腹水濾過濃縮再静注法を行っています。全身状態の改善から、抗がん剤治療を開始、もしくは、再開が可能となり、長期延命する方もいらっしゃいます。
 
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 133 0.50 1.15 0.00 65.98  
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 53 1.00 4.13 0.00 58.94  
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 32 1.03 3.78 0.00 36.38  
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 28 1.07 12.18 0.00 71.36  
K672 胆嚢摘出術 20 1.65 13.50 15.00 72.90  
[消化器外科]

・鼠径ヘルニア手術は、1泊2日の短期入院で対応し、術後経過も良好です。虫垂炎や胆嚢炎(結石を含む)等の良性疾患の手術件数が上位を占めていますが、予定手術では消化器悪性腫瘍手術が多く、鏡視下手術により、術後日数も短く、経過が良好であることを示しています。
 
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) 135 2.87 31.39 32.59 84.85  
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 65 2.11 29.94 1.54 74.83  
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 58 3.34 24.33 3.45 70.71  
K0811 人工骨頭挿入術(肩,股) 54 4.46 33.24 33.33 82.02  
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 54 2.31 18.17 3.70 70.54  
[整形外科]

・高齢化社会を反映し、高齢者を中心とした骨折(特に大腿骨近位部骨折)や、腰椎疾患・下肢関節変形性疾患の手術が多い状況です。
 
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 31 0.06 2.03 0.00 54.19  
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) 19 0.05 1.00 0.00 73.32  
K6333 臍ヘルニア手術 15 1.00 2.00 0.00 3.33  
K628 リンパ管吻合術 11 1.00 7.27 0.00 60.45  
K288 副耳(介)切除術 10 1.00 1.00 0.00 1.40  
[形成外科]

・眼瞼下垂症の手術においては、原因や手術時年齢を考慮して、手術方法を選択しています。リンパ浮腫の手術(リンパ管吻合術)では、1mm以下の口径のリンパ管と静脈を顕微鏡下に吻合し、手足のリンパの流れを静脈に戻す手術を行います。手術前後は、リンパ浮腫指導技能士、看護師、運動療法士、放射線技師など、多くの医療者が関わって患者さんを治療する集学的治療を行っています。この他に多い症例として、鼻骨骨折などの顔面骨骨折が上げられますが、治療時の痛みを減らす目的で、ほとんどの手術を全身麻酔下で実施しています。小児の先天異常の手術においては、表に掲載された疾患以外にも、全身麻酔下で多くの疾患を治療しています。
 
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 56 0.32 13.88 28.57 79.61  
K164-5 内視鏡下脳内血腫除去術 28 1.46 48.04 71.43 72.89  
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 18 3.44 38.33 5.56 63.67  
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 18 2.67 29.61 33.33 64.44  
K1742 水頭症手術(シャント手術) - - - - -  
[脳神経外科]

・脳卒中全般の緊急手術および外傷で、予防的手術を行っています。最も多い手術は、「硬膜下血腫」に対する穿孔洗浄術です。慢性硬膜下血腫は、頭部外傷を追って1~2か月後に歩行障害や認知症等の症状がおこる病気で、多くが緊急での手術を必要とします。穿孔洗浄術では、小さな穿頭で硬膜下に溜まった血腫を吸引し、洗浄除去します。術後は早期に症状が改善し、約8割近くの患者さんが自宅へ退院されています。脳動脈瘤クリッピング術と血管内手術(コイリング)と適切な手段を選択していますが、カテーテルを用いて行うため、傷も小さく、在院日数も短くなっています。クリッピング手術は、瘤の根元をチタン製のクリップで挟み、血液が入らないようにして瘤の破裂を未然に防ぐ手術です。
 
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 22 1.00 6.73 0.00 71.50  
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 22 1.00 9.09 0.00 66.23  
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 19 1.00 5.32 0.00 62.84  
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 15 1.00 9.80 0.00 57.73  
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 13 1.00 10.15 0.00 61.69  
[呼吸器外科]

・呼吸器外科、乳腺内分泌外科ともに予定手術は、前日入院が基本となっています。呼吸器外科の手術は、肺癌の標準的手術である肺葉切除術を最も多く行っており、その大部分は完全鏡視下手術となっています。令和3年(2021年)から、縦隔腫瘍はロボット支援手術(ダヴィンチ手術)を導入しました。今後、肺悪性腫瘍手術にも導入していく予定です。乳腺内分泌外科は、乳房温存手術が最も多くなっています。呼吸器外科は、呼吸器内科、放射線科、病理診断科と、乳腺内分泌外科は、腫瘍内科、放射線科と密接に連携を取り診療を行っています。
 
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 13 0.08 6.69 0.00 80.46  
K013-22 全層植皮術(25cm2以上100cm2未満) - - - - -  
K0134 分層植皮術(200cm2以上) - - - - -  
K013-21 全層植皮術(25cm2未満) - - - - -  
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) - - - - -  
[皮膚科]

・皮膚悪性腫瘍は、高齢化もあり増加傾向です。これらの腫瘍の切除後、皮膚欠損が大型で縫縮困難な場合に植皮術を実施しています。
 
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 46 1.02 4.02 0.00 75.22  
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 21 1.00 2.10 0.00 64.67  
K8412 経尿道的前立腺手術(その他) 20 1.05 5.05 0.00 72.10  
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 18 1.11 8.33 0.00 68.11  
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 16 3.38 14.81 0.00 79.19  
[泌尿器科]

・膀胱癌経尿道的手術数、経尿道的尿路結石除去術は、例年通りに推移しています。ダヴィンチ(内視鏡手術支援ロボット)導入により、前立腺癌手術症例が増加傾向です。また、経尿道的尿管ステント留置症例は、結石性腎盂腎炎などで緊急処置後に入院した症例です。尿管ステントの交換のみであれば外来にて行っています。
 
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 83 6.34 6.87 0.00 33.00  
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 57 4.11 7.09 0.00 32.70  
K877 子宮全摘術 50 1.48 7.72 0.00 54.04  
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 49 1.00 3.98 0.00 47.49  
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 44 0.91 3.80 0.00 45.18  
[産婦人科]

・産科領域の手術としては帝王切開を行い、緊急帝王切開も迅速に行えるよう努めています。婦人科手術は、良性疾患から悪性疾患まで行い、良性疾患では、適応があれば、腹腔鏡手術も行っています。
 
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 168 0.15 1.07 0.00 75.11  
K2682 緑内障手術(流出路再建術) 20 1.00 5.65 0.00 71.30  
K2683 緑内障手術(濾過手術) 11 1.18 11.27 0.00 71.36  
K2686 緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術) - - - - -  
K2231 結膜嚢形成手術(部分形成) - - - - -  
[眼科]

・白内障は、眼の中にあるレンズ(水晶体)が濁り視力が低下する疾患です。原因は、加齢性が最も多く糖尿病や眼外傷、炎症性の眼疾患などでも生じます。治療は、濁った水晶体を破砕・摘出し、眼内レンズ(人工水晶体)を挿入します。手術創は2.4mm程度で局所麻酔で行います。ほとんどの症例は、無縫合で眼科の中では一番症例数が多い手術です。大部分の症例では、眼内レンズを挿入しますが、眼の状態によって眼内レンズを挿入しない場合もあります。 緑内障は、視神経の病気です。視神経は、多数の細い神経の束で構成されています。緑内障が進行すると、弱い神経から障害され、徐々に視野がかけていきます。治療はまず、点眼薬により眼圧を下げますが、十分な眼圧下降が得られず視野障害が進行する場合は、眼圧を下げるための手術を行います。手術では、各症例に応じて眼内に産生される水(房水)を排出する新しいルートを作る濾過手術や、通常のルートで房水流出を改善させる流出路再建などを行います。作成したルートの機能が低下した場合は、結膜嚢形成術を行い機能を回復させることがあります。
 
7.その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 10 0.14
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 17 0.24
異なる - -
【定義】
・医療資源を最も投入した傷病名が、「播種性血管内凝固症候群(DIC)」、「敗血症」、「その他の真菌感染症」、「手術・処置等(術後)の合併症」の患者さんについて、入院のきっかけとなった傷病名が同一かどうかを判定し集計しています。
・「同一」とは、入院時にはすでに発症しており、その傷病の治療のため入院した場合、「異なる」とは、入院時に併存していたか、入院中に発症した場合などとなります。
・発生率は、全退院患者数に対する各症例数の割合を示しています。

【解説】
・敗血症の原因の多くは、尿路感染症、肺炎、胆管炎、腸炎、腹膜炎などの感染症によるものです。体の中に細菌(病原体)が増殖し、組織障害や臓器障害など重篤な全身症状を引き起こすため、集中治療室(ICU)などで全身管理および治療が必要になります。
・「手術・処置等(術後)の合併症」の内訳として、人工股関節の脱臼や、頭蓋内シャント(髄液を体内の他の場所に排出させるチューブ)の機能不全など人工挿入物の不具合による症例があげられます。人工股関節の脱臼は、日常生活の中で発症し、その整復のため入院となった症例です。
 次に、手術や処置後の創部に発症する創部感染症や、大腿骨骨折により挿入した人工骨頭などの人工挿入物による感染症があげられます。これらの合併症については、発症しないように細心の注意を払って治療に臨んでいますが、基礎疾患がある方や免疫力が低下している方などに、一定数は発生することがあります。
 なお、「手術・処置等(術後)の合併症」には、ワクチン接種によるアレルギー反応(アナフィラキシー)に対する治療も含まれます。
 
更新履歴
 令和4年9月28日
「令和3年度(2021年度)病院指標」 公表
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